
今日は佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」についてご紹介します。
2007年本屋大賞受賞作品です。
同年ノミネートされていたのは森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」、有川浩(ひろ)さんの「図書館戦争」、などなどなどなど、10年以上経った今でも人気を集めている小説ばかりでしたが、その強敵たちを制しての大賞受賞だったそうです。
でも読んでみれば納得するはず!
テレビドラマ、ラジオドラマ、そして漫画化もされています。
漫画を描いたのは「DAYS」の作者、安田剛士さん。
「Over Drive」からのファンだったので、この小説のコミカライズも古本屋で探し回りました。
こちらもよければぜひ。
さてそれではあらすじへ。
「走ること」がテーマの本です。
あらすじ
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主人公の新二はサッカー少年。
天才的才能を持つ兄の健ちゃんと比べて、頑張っても試合ではいつも結果が出ないさえない男の子です。
一緒の高校に入った幼なじみの連は、有名な陸上短距離選手だった。
しかしすでに陸上を離れて、新二の誘いを断り部活見学せずさっさと帰宅する毎日を過ごしていた。
そんな2人が、体育の50m走で一緒に走ることになります。
さてどうなるのか。
この勝負をきっかけに、新二は陸上に出会います。
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3部作のこの作品。
愚直に何かに打ち込むことって、こんなにも美しいのかと胸を打たれました。
主人公新ニはめちゃくちゃに不器用で、でもまっすぐで、とてもまぶしく感じる。
なにをやってもそこそこの、凡人オブ凡人のわたしにとって彼がひたむきにすすむ姿は、自分へのエールのように思えたのです。
友情とか、努力とか、才能への嫉妬とか、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。
それらと向き合う登場人物に感情移入し、わたしは泣きながら読みました。
3部作が短く感じるほど、とても面白かったです。
最近なんとなく日々を無為に過ごしてしまってる人は、ぜひ読んでみて欲しい。
お気に入りが増えていく中で、走ることがテーマになっている本が好きであることに気がつきました。
いや、走るのは苦手なんですけど。笑
走るという孤独な行為の中で、自分を見つめ直すことや、ひたむきに向き合い続ける姿を描くお話を読むと、よーし!頑張るぞって思うのです。
自分も一緒に走り出して、風を感じている気持ちになれる。
ベッドの中なのにね。