
今日は小川洋子さんの「猫を抱いて像と泳ぐ」を紹介します。
こちら2010年の本屋大賞ノミネート作品ですね!
2009年のキノベス!にもノミネートされています。
読んだ感じとしては、同じく小川洋子さん著である「ミーナの行進」と、いしいしんじさんの「ぶらんこのり」を混ぜたような世界観で、ひとりの少年の成長を描いている作品です。
あらすじに参りましょう!
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上唇と下唇がくっついた状態で生まれてきた少年。手術によって治ったが、少年は寡黙だった。
物静かな彼に友人はおらず、友達はたった2人。デパートの屋上に連れてこられ、成長したがために一生屋上から降りられなくなった象のインディラと家と家のすきまに入り込み、からだが大きくなって挟まったままになってしまった少女ミイラだけだった。
家族と、2人の友人との毎日を過ごす彼に、チェスとの運命的な出会いが訪れる。
チェスの師であるマスターの言葉を大切に胸に留めながら、広いチェスの海を泳いでいく。
そしていつしか彼は「リトル・アリョーヒン」として、奇跡のような美しいチェスする。
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言葉にすると難しい~~!
解釈は少し難しいなと思いました。
障害をもつ人や、他人とはすこし違うことに生きづらさを感じている人の生きざま、としてもみてとれる気がするし、チェス、将棋だとか、ある競技に対するプロプレーヤーとして生きていく人間のまっすぐさを書いているような気もする。
何かに魅入られた人間はこうもまっすぐなのか。無垢でストレートな生きざまがかっこよく感じました。
作中でマスターから少年がチェスを教わっているときに、マスターはこういいます、
「最強の一手が最善の一手とは限らない」と。
世界一金持ちな人が世界一幸せとは限らないとか、外から見たその人のステータスだったり見てくれだったりではないんだよ、っていわれているような気がして、すこしほっとするような気がしました。ならば自分の好きな道を選ぼう。
チェスってやったことないんだけど、やってみたいなと思いました。
わたしも、こんなにも夢中になって人生をささげることができるものにいつか出会えるのだろうか?