
森絵都さんの「おいで、一緒に行こう」。
2011年の東日本大震災のあとの福島で行われた、ペットレスキューのお話。
森さんらしい書き口で、葛藤の部分もさらけ出して綴られています。
この勇気に感謝です。
当時わたしは高校2年生で、西日本に住んでいるので大きな被害はありませんでした。
滅多に出さない熱を出して、保健室で寝てたのです。ベッドのカーテンのすきまから、先生たちがこそこそと何か話していて、「地震」というワードが細々と聞こえていたのを覚えています。
その後迎えに来た母に連れられ、病院で地震の映像を見ました。熱でうかされていたこともあるけれど、どこか他人事で、異国のニュースのように感じていました。
東京にいる兄も無事であり、もはやわたしにとっては終わったことのようになっていました。むしろ悲しくなるからできるだけ目を背けていました。無力以前の問題だった。
ペットを飼ったことのないわたしにとっては、こんなふうに熱く活動される方がいることすらも初耳で、保護猫、保護犬活動の話ですら森さんの「君と一緒に生きよう」で初めて知りました。
ずいぶんと狭い世界で生きていたなと反省しました。
2021年になる今年は、震災から10年が経過しました。
いまだに避難生活を続けている人がいることを知りながらも、わたしはこれまで、震災をどこか異国の出来事のように感じていました。
被災地のひとたちにとって、震災が「終わったこと」になることなんて、きっとないのかもしれない、と気付かされた本でした。
今ようやくそのことに気づけたわたしにできるのは、多くの人にこの想いを届けること、この本を読んで欲しい!と伝えることかなと思いました。
ぜひ、手に取ってみて欲しいです。